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オオバナミガタエダシャク

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今日はだだの止まりものの写真だ。

明け方に降った土砂降りの雨で、登山道はたっぶりと湿っぽい空気を含んでいる。
その雨でスギの大木もびっしょり濡れていて、
樹幹はいつにも増して黒々としている。
そんな黒っぽい樹皮に止まっているのだから、
淡い灰褐色のオオバナミガタエダシャクがよく目立ってしまうのだろう、
この他にも数頭お目に掛かることが出来た。
雨の降らない乾いた日であれば、
枯れたり苔むしたりした灰褐色の木の幹や枝にこのガが止まっていたら、
これ程容易く見つかる筈も無いだろう。

時は19世紀、所はイギリスの工業地帯。
マンチェスターやリバプール近郊では工業の発展と共に大気汚染が進み、
カシワの樹枝に生える地衣類が枯れてしまい、
灰色の苔に覆われていた樹皮はすっかり黒っぽくなってしまった。
今日の雨に濡れたスギの樹皮のように。
昼間は苔むした灰色の樹皮に止まって休む夜行性のオオシモフリエダシャクは、
隠蔽の効果も薄れ、すっかり天敵の餌食になってしまったのである。
それとは逆に、オオシモフリエダシャクの暗化型のものが、
カシワの幹が黒化する環境変化で、天敵の目から免れ易く個体数を増やしたのだ。
工業化によってオオシモフリエダシャクが黒くなったこの話は、
自然淘汰の具体的例として遺伝の教科書に出ていたのを思い出す人もいるだろう。

近年マンチェスターやリバプールでは大気汚染の対策も進んだという。
それによって、オオバナミガタエダシャクのような淡色のタイプのオオシモフリエダシャクが復活したそうだ。
それによって明らかになったのは、オオシモフリエダシャクは自然淘汰によって黒化したのでは無かったということ。
何故なら、進化によって獲得した形質は、決して逆戻りはしないからである。
オオシモフリエダシャクが短期間に黒化型に進化を遂げたのではなく、
単なる可逆的な適応に過ぎなかったことが明らかにされたのである。

こんな雨模様の森のオオバナミガタエダシャクはやはりよく目立つ存在だ。
鳥やトカゲの目がこれを見逃す筈はない。
灰褐色の隠蔽色に身を纏ったガには、人間どもの進化が云々という難しい論議の戦いとは無縁。
このエダシャクはお天気次第で日々変化する環境条件に晒されている訳だ。
だだの止まりものの写真と思って写した昆虫の風景だが、
実は、厳しい生き死にの一場面なのかも知れない。

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by escu_lenta_05 | 2009-06-26 06:17 |
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