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Colocasia's Photo World

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芽鱗落つ

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一週間前、家の周りでは、林のコナラが一斉に芽吹き始めた。
その木々の枝先には、冬芽の芽鱗を脱ぎ捨て、
銀色の産毛をいっぱい纏った幼葉が寄りそうように付いていた。
それから一週間、幼葉はそれぞれ葉柄を伸ばし、
驚くほどのスピードで展葉し、
まだ小ぶりだが、すでに成長した葉の姿に近づいている。

昆虫にとって、それは柔らかで美味しい旬のご馳走に違いない。
展葉を待ちかねるように越冬から覚めたのだろう、
その若葉の上には、グルメのコカシワクチブトゾウムシが早速姿を見せている。
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そんな萌え木のナラ林の中を歩くと、
林床に敷き詰められた落ち葉の上に、
茶褐色の種のようなものが無数に散り落ちている。
その剥かれた種の皮に見えるのは、
よく観れば、みな冬芽が脱ぎ捨てた芽鱗だった。
落ち葉の上だけでなく、
瑞々しい若葉の上にもちょこんと乗っかったりしている。
木々の枝先の若葉にばかり目を奪われていたら、
林床にも萌え木の季節ならではの風景が広がっていたのだ。

サクラやギフチョウばかりが春の訪れを知らせる風物ではないだろう。
ほとんど見向きもされない足元にも、
季節の移ろいを映し出してくれる
小さいけれども、確かな季節の標があった。
春の定番の生きものを写すより、
こちらの方が余程面白いと思えて来た。

さて、この風景をどう言葉で表現すればよいのだろう。
秋の終わりのモミジの「落ち紅葉」や「散り紅葉」を真似てみる。
「芽鱗落つ」それとも「芽鱗散る」
この言葉が春の季語になるには、どれも今ひとつですかね。

撮影:2011.4.21 (上)/4.22 (下)/TAMRON SP AF Di 90㎜ F2.8
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by escu_lenta_05 | 2011-04-23 21:56 | 季節
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