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ヒゲナガヤチバエは益虫だった

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棚田の湿った畔の辺りで1㎝程のハエが飛んだ。
間もなくひつじ(穭)田の青い稲の葉に止まったので、
レンズを向けると近くの雑草に飛び移ってしまった。
しかし、今度はそこに止まったまま逃げなかった。
ピントを合わせて確かめると、ヒゲナガヤチバエだった。
このハエは河原、池の傍、水田などの湿った場所で普通に見かけるハエだ。
幼虫は水際でヒメモノアラガイを捕えて食べる習性があるから、
水中で暮らす訳ではないが、
餌の貝がいる水辺が生息場所という訳だ。

春や秋に良く見かけるが、このハエのことを詳しく調べたことはなかったので、
ネットで探ってみると、詳しい生態を書いた文献が見つかった。
なんと大学院で指導して頂いた教官お二人の共著論文だった。
ヒゲナガヤチバエの研究もされていたとは今まで知らなかったので驚いた。
随分出来の悪い学生だった証拠で、はなはだお恥ずかしい。

それによると、このハエは肝蛭(かんてつ)の中間寄主である
ヒメモノアラガイを捕食するから、益虫であるのだそうだ。
肝蛭は牛の肝臓の胆管の寄生虫で、
人にこれが寄生すると胆管が炎症し、
発熱、吐き気、腹部の激痛、下痢などを発症するという。
また、ヒゲナガヤチバエの卵はかなりの確率でズイムシアカタマゴバチに寄生されるらしい。
その寄生バチは稲の害虫で名高いニカメイガの卵の有力な天敵でもある。
それで、このハエは稲の害虫の天敵を増やす働きをしていることになる。

この論文には、ヒゲナガヤチバエの「幼虫はヒメモノアラガイを食べ、又卵はズイムシアカタマゴバチに寄生されて直接間接人類に役だっている。」とその益虫としての価値が書かれている。

撮影:2011.11.20 / NIKKOR ED70-180mm F4.5-5.6D
*クリックで画像は少し拡大します。
by escu_lenta_05 | 2011-11-21 18:59 | ハエ・アブ・カ
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