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花粉まみれのランデブー

花粉まみれのランデブー_e0089532_620679.jpg

ミスミソウは、毎年見るのを楽しみにしている早春の野草の一つである。
「三角草」は、浅く3裂した葉の形に因む名だが、
私のフィールドに生えるのは、葉の基部が心形で、
葉の先がやや丸みを帯びたスハマソウ(州浜草)という変種らしい。
他にも、葉の大きなオオスハマソウや、染色体が相違するケスハマソウなどの変種があって、
分類がややこしい種だが、全てひっくるめてミスミソウとして、
レッドデータブックに名を連ねる貴重植物となっている。

別名を「雪割草」というくらいだから、雪の多い地方では、
残雪を押しのけて咲く早春の代表的な植物なのだろう。
それで、てっきりイチリンソウやカタクリと同じく、
スプリング・エフェメラル(早春の儚い命)の仲間かと思っていたら、
フクジュソウなどの早春植物は新緑の季節までに地上部がすっかり枯れ果て、
地下茎や球根で翌春まで眠り続けるのに、
このミスミソウは根生葉が枯れずに年を越すから、
同じ早春の花ではあっても、これらとは仲間外れであるらしい。
とはいえ、まだ枯れ草のままの寂しげな野を
いち早く美しく飾ってくれる春の妖精である事には間違いない。

私の観察地でのミスミソウの花期は、丁度スギの花粉が大量に飛び散る時期と重なる。
不運にもそこはスギ林のど真ん中。
花粉症の酷い私は、目を真っ赤に腫らし、鼻水をズルズル鳴らし、
激しく咳き込みながら、毎年この珍花を見ることになるのである。
花粉の恐怖に戦きながらも毎年この花を見に来るのは、
いかにも山野草らしさ感じさせる野生植物が、
身近でもう数えるほどに成ってしまったから。

ちっぽけな保護地の中で、疎らな群落となって、
今年も可憐な花をけなげに咲かせていた。
花弁の先をほんのりと青紫に染める愛しい野草との年に一度の出会いだ。
花粉まみれに成るのも、もうすっかり忘れている。
[Nikon D2X ED70-180mm F4.5-5.6D]

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by escu_lenta_05 | 2007-03-14 06:20 | 植物
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