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なごり雪

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今年は例年にない程の暖冬で、東京の初雪はなんと3月16日。
この僅か5分間ぐらい降った霙レが、観測史上最も遅い初雪となった。
このままだと、初雪と終雪が同じとなる所もあるのかもしれない。

今日は春の彼岸の中日の春分。陽は真東に昇り、真西に沈む。
今日を境に昼間が日々長くなり、「暑さ寒さも彼岸まで」の言い習わしのように、
西日本の平地では、もう本格的な雪が降ることはないだろう(と思う)。
週間天気予報でも、春分を過ぎれば日増しに気温が上昇するというのだから。

3月18日の早朝、雨戸を開けると、庭にほんのちょっぴり雪が積もっていた。
これが最後の降雪(終雪)だったのだろうか。
ウグイスの鳴き初めやセミも鳴き始めは、それまで聞かなかった声を俄に聞くのだから
自然に疎い人でない限り、「初鳴き」は判りやすい。
だが、「鳴き終わり」の日を確定するのは困難だ。
そろそろセミやコオロギの鳴き声が聞かれなくなる頃から、声を聞いた日を、
もうこれ以降鳴く事はないと確信できる日まで毎日記録し続ける以外に、
これを確定する術はないのだから。
終雪もこれと同様だ。これから毎日、白いものが降ったり、積もったりしないか
注意しておかねばならないのだから大変だ。

終雪期の雪を表現する言葉に「雪の果て」、「涅槃雪」、「雪の別れ」、「忘れ雪」などという美しい言葉がある。
そして、「名残の雪」もある。毎日の記録なんて面倒だから、
几帳面さの欠片もない私は、終雪をこの言葉にお任せすればいいと考えるのである。

「名残の雪」は「なごり雪」が通りが良いのかもしれない。
かぐや姫の伊勢正三の(イルカさんの歌で大ヒットした)あの名曲を思い出すから。
「東京で見る雪はこれが最後ね」というセンチメンタルな曲が、毎日ラジオから流れた1970年代初頭の東京。
私が貧乏学生を過ごしたその街は、冬になれば雪が積もる寒い街だった。
温暖化とヒートアイランド化で九州より暖かくなってしまった首都で、
なごり雪を見ながら「さみしそうに君がつぶやく」こともないのだろう。
季節折々の美しい言葉は、季節感の喪失とともに次第に闇に消えて行くのかもしれない。
[Nikon D2X ED70-180mm F4.5-5.6D]

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by escu_lenta_05 | 2007-03-21 07:59 | 自然
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