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鹿角のライバル登場

鹿角のライバル登場_e0089532_81926.jpg

関西に住む人なら、鹿の角をあしらったキャラクターと言えば、
真っ先に平城遷都1300年祭のキャラクター「せんとくん」を思い浮かべるだろう。
奈良のシンボルの神鹿の角を持った子供っぽい風貌の仏様の意匠だ。
発表と同時に、気持ち悪いとか仏を冒涜しているなどの批判が続出し、
それに変わるべく様々なライバルのキャラクターが次々に発表されている。
こうした批判はともかく、TVなどのマスコミで話題を巻き起こしているのだから、
平城遷都1300年祭のコマーシャルに大いに役立っていることに間違はない。

今日はその鹿角を持つチョウ。
ゴマダラチョウの幼虫だ。
可愛らしい猫顔の上にトゲトゲの立派な角を纏う
硬軟両方のイメージでなかなかのノインパクではないだろうか。

この奇抜なチョウの幼虫にも「せんとくん」同様に強力なライバルがいる。
コムラサキ、イシガケチョウ、スミナガシ、サカハチチョウ。
そして、最大のライバルはオオムラサキ。
角の形もそっくりで、それに胴の体型も体色もほとんど一緒。
オオムラサキは背中の突起が4対で、ゴマダラチョウより一対多い僅かな違いがあるだけのそっくりさん同士だ。
ゴマダラチョウの幼虫はエノキの葉を食べるが、
オオムラサキも同じくエノキが食樹だから大変だ。
まさに呉越同舟。

ゴマダラチョウはオオムラサキに比べればずっと普通に見られるチョウで、
里山の川沿いなどに生えるエノキの食痕を頼りに探せば楽に見つけられる。
一方、オオムラサキはレッドデータになっているほど減少しているから、
同じ木にライバル同士が鉢合わせになる機会はめっきり減っているから、
ゴマダラチョウは天下気分と思うだろう。
だが、近年思わぬそっくりさんのライバルが突如現れた。
やはりエノキを食べるアカボシゴマダラだ。

アカボシゴマダラは日本では奄美大島に行かなければ見られない亜熱帯のチョウのはずだが、
1995年に埼玉県で確認されたのを皮切りに、
その後神奈川県などの関東地方南部に定着し、
2006年には東京都内でも発生が確認されるようになった。
この思わぬライバルの出現、チョウマニヤの放蝶が原因と見られている。

しかし、このような亜熱帯のチョウが関東で冬越して世代をくり返すことが出来るというのは、
都市のヒートアイランド化がいかに進行しているかを如実に示す事例でもある。
アカボシゴマダラの出現に戦くべきはゴマダラチョウではなく、
我々人間の方かもしれない。
[Nikon D2X ED70-180mm F4.5-5.6D]


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by escu_lenta_05 | 2008-07-15 08:19 | チョウ
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