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ウスタビガの繭

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先日のいきもの調査会で、林道に落ちているウスタビガの繭を幾つか目にした。最近の台風の強風で枝が折れ落ちたのだろう。
裸木の冬の林で、薄黄緑色のウスタビガの繭は良く目立つ。葉の茂る季節は、この緑が迷彩色になって天敵の目から免れる工夫だが、枯木色の季節は逆に良く目立ってしまう。わざわざ目立つことをしなくてもと思うのだが、心配はいらない。晩秋から初冬の落葉の季節に羽化してしまうのである。冬に目にする繭は空っぽで、鳥の食べる獲物はもう中にはいない。
ウスタビガは「薄手火蛾」の漢字を充てる。「手火」は提灯のことで、木にぶら下がる繭の姿に由来している。「薄足袋蛾」とも書くが、これは繭を足袋に見立てたもので、他に、「ツリカマス」「ヤマカマス」「ヤマビシャク」などの地方名がある。ちなみに、クスサンの繭は、茶色の粗い網目の袋の形から「スカシダワラ」と呼ばれる。
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そして、繭にはもう一工夫が。底には小さな穴が開いている。雨などで濡れて、繭の中の蛹が濡れないための水抜きである。越冬する昆虫にとって、水気は大敵。蛹が濡れると、冬に凍結するので、穴はそれを避ける仕組みである。
地方名が多いから、どこでも普通に見られる昆虫かと思うのだが、東京都と滋賀県ではレッドデータ種に指定されている。最近滋賀の里山を歩く機会があったが、繭は一つも見つからなかった。冬の林で、色や姿形から強く印象に残る存在なのだが、実は、個体数は思うほど多くないのかもしれない。

ウスタビガの生態:10月から11月頃に羽化した成虫が産卵した卵は、そのまま越冬する。翌4月頃に孵化し、6月中旬頃に繭を作り蛹になる。食樹はブナ科のコナラ属(クヌギ、コナラ、カシワ)、サクラの他、カエデ科、カバノキ科、ニレ科と幅広い。
*クリックで画像は少し拡大します。
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by escu_lenta_05 | 2012-10-13 09:07 |
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