柑橘類の栽培で一番厄介なのはアゲハ類の葉の食害だろう。
知らぬ間に葉に卵が生み付けられ、
間もなく孵化した幼虫は凄まじい食欲で葉を食い荒らす。
鳥の糞に擬態した茶褐色に白い班をあしらった4齢幼虫が最後の脱皮をして、
今度は葉の色に似せた緑色の終齢幼虫になると、
それまでの4,5倍の量の葉を食い荒らすからたまらない。
我が家の庭に植えている柑橘類はスダチ、レンモン、シークヮーサーの3種だ。
当然のようにこれにも卵や小さな鳥の糞もどきの幼虫がたくさんついている。
ナミアゲ、クロアゲハ、偶にナガサキアゲハも産卵にやって来る。
葉に幾つもの卵が生み付けられているのを見る度にギョッとする。
猫の額ほどの庭に植えられた木だから、それに相応してどれも小降りなのは当然。
この葉の上の卵が全部孵化して食欲旺盛な終齢幼虫まで育ってしまうと、
木は瞬く間に丸坊主になること間違いなしだ。
ところが不思議なことに、
孵化した小さな幼虫たちは脱皮の度に数を減らして行く。
だから4齢くらいまで成長するのは稀で、
ましてや緑色の終齢幼虫まで育つのはほとんどいないのである。
以前の記事にナミアゲハの幼虫を狩るヤニサシガメの事を書いた。
庭のアゲハの幼虫を狙って来るのは、実はこのサシガメばかりではないのである。
スズメバチ類やアシナバチ類がそれ以上に強力な天敵だ。
中でもアシナバチ類は最も頻繁にやって来て、枝から枝を渡り歩いて幼虫を探し回っている。
この勤勉な天敵の御陰で我が家の柑橘類は丸坊主にされるのを免れている。
(ちゃんと噴霧器も持っているのだが散布作業が面倒だというのが本音で)
庭の木にはほとんど農薬を散布しないから我が家は天敵の良い狩り場になっているらしい。
ここまで書けばエコガーデンのようで美談風なのだが、
アゲハ類の幼虫の写真を時間を追って撮影したい私としては一寸困ったことでもある。
仕方がないから、やっぱり他の野山に暮らすチョウ同様に、
庭で見つけた卵は途中で天敵にやられないために室内で飼育するしかないのである。
アゲハの幼虫を狩るサシガメや狩り蜂の姿は頻繁に見ることが出来るのは嬉しいが、
一方では手間の掛かるチョウの飼育をするは羽目になるとは・・・。
エコも手放しで喜べないのは、
自然のシステムが複雑に絡みあって成り立っているという証でもあるだろう。
(画像はナミアゲハの終齢幼虫)
[Nikon D2X ED70-180mm F4.5-5.6D]
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